親知らずって抜いた方がいい?抜かなくてもいいケースについて徹底解説
- 2025年6月26日
- お口の病気
目次
親知らずって抜いた方がいい?抜かなくてもいいケースとは?
親知らず(智歯)は、永久歯の中で最も最後に生えてくる歯で、通常17歳〜25歳頃に生えてきます。
しかし、この歯が正常に機能するケースは実は少なく、痛みや腫れなどのトラブルの原因になることも多いため、「親知らずは抜いた方がいいのか?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
今回は、親知らずを抜くべきケースと、抜かなくてもよいケースについて、特に矯正治療や虫歯、歯周病の観点も交えて解説します。
親知らずとは?
親知らずは、上下左右の一番奥に位置する第三大臼歯です。
現代人の顎は進化の過程で小さくなっており、そのため親知らずが生えるスペースが十分にないことが多く、斜めや横向きに生える「埋伏歯」になるケースも珍しくありません。
このような不完全な萌出(ほうしゅつ)は、周囲の歯や歯ぐきに悪影響を及ぼす可能性があります。
抜いた方がいいケース
矯正治療で奥歯を後方移動する場合
歯列矯正を行う際、特に「奥歯を後ろへ動かす」必要がある場合には、親知らずがその妨げになることがあります。
親知らずが存在することで、第二大臼歯(12歳臼歯)より後方にスペースが確保できず、全体の歯並びや咬合(かみ合わせ)に悪影響を及ぼすことがあります。
また、矯正後に親知らずが生えてくることで歯列が再度乱れる「後戻り」のリスクもあります。
ポイント:矯正治療前には、必ずパノラマレントゲンやCTで親知らずの位置や方向を確認し、抜歯が必要かどうかを判断します。
第二大臼歯にカリエス(虫歯)ができた場合
親知らずが斜めや横向きに生えていると、手前の第二大臼歯との間に清掃が行き届かない“隙間”ができやすくなります。
その結果、第二大臼歯に虫歯ができてしまうことがあります。
この虫歯は見えづらく治療が難しい場所にできることが多く、進行が早く気づきにくいため、気づいた時には神経まで達していることも珍しくありません。
そうなると、第二大臼歯の神経治療や抜歯といった大きな処置が必要になる可能性もあります。
このようなリスクを回避するためにも、 問題のある親知らずは早めに抜歯することが推奨されます。
周囲の歯ぐきが腫れやすく、Perico(智歯周囲炎)を繰り返す場合
「親知らずの周りが何度も腫れる」「口が開きにくくなる」「口臭が気になる」
このような症状がある場合、それは智歯周囲炎(Pericoronitis/Perico)である可能性が高いです。
これは、半分だけ出ている親知らずの周囲に細菌が繁殖し、歯肉が炎症を起こしてしまう状態です。
炎症が重度になると、発熱やリンパの腫れ、顔の腫脹など全身症状に発展することもあります。
Pericoを繰り返している場合は、抗生物質で一時的に抑えても根本的な解決にはならず、最終的には抜歯が望ましいとされます。
抜かなくてもいいケース
すべての親知らずが悪さをするわけではありません。
以下のようなケースでは、無理に抜歯をしなくても経過観察で済む場合もあります。
正常な方向に完全に生えている
親知らずが上下の歯としっかり咬み合い、清掃も十分にできている場合、無理に抜く必要はありません。
このような親知らずは咀嚼に参加する機能的な歯として活躍することもあります。
完全に骨や歯肉の中に埋まっていて問題がない
レントゲン上で親知らずが骨の中に完全に埋まっていて、炎症や腫れなどの症状が一切出ていない場合は、定期的な経過観察で対応できます。
ただし、将来的に移植歯として使用できる可能性があるため、残しておくメリットがある場合もあります。
他の歯を失った際の「代替歯」として活用できる
例えば第一大臼歯を失った際、そのスペースに親知らずを移植する治療法(自家歯牙移植)があります。
条件が合えばインプラントの代替手段となるため、あえて親知らずを温存するケースもあります。
親知らずの抜歯を行う際の注意点
親知らずの抜歯は、他の歯の抜歯に比べて難易度が高いことがあります。
特に下顎の親知らずは、下歯槽神経という太い神経に近接していることがあり、注意が必要です。
抜歯前にはCT撮影を行い、神経や血管との位置関係をしっかりと確認します。
リスクの高い場合は、口腔外科の専門医への紹介が行われることもあります。
まとめ
親知らずはその状態や周囲への影響によって、抜歯が必要な場合とそうでない場合があります。
抜歯が推奨される主なケース
◎矯正で奥歯を動かす妨げになる
◎手前の歯に虫歯ができた
◎Pericoを繰り返している
抜歯しなくてよいケース
◎正常に生えていて機能している
◎完全に埋まっていて問題がない
◎将来的に移植歯として利用できる可能性がある
大切なのは、レントゲンやCTによる正確な診断と、歯科医師との相談による適切な判断です。
親知らずの扱いに迷った際は、自己判断せず専門家に相談しましょう。