歯科技工士さんってどんな仕事?~歯科治療の舞台裏を支えるプロフェッショナル~
- 2025年8月14日
- その他
歯科医院に通っているとき、「この詰め物や入れ歯は、いったい誰が作っているんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
実はその答えは、「歯科技工士(しかぎこうし)」という専門職にあります。
歯科技工士は、私たちの口にぴったり合う被せ物(クラウン)や入れ歯、インプラントなどの“歯”を作るスペシャリストです。
今回は、あまり知られていない歯科技工士さんの世界にスポットを当て、その仕事内容や魅力、そして現在の課題まで、わかりやすくご紹介します。
目次
歯科技工士とは?歯科治療を支える“裏方の主役”
歯科技工士は、歯科医師の指示のもと、詰め物・被せ物・義歯(入れ歯)・インプラント・矯正装置などを製作する国家資格の専門職です。
患者さんと直接接することはほとんどありませんが、治療の成否や快適性は、歯科技工士の技術に大きく左右されると言っても過言ではありません。
歯科技工士がつくる主なもの
- クラウン(被せ物)
- ブリッジ
- 義歯(部分入れ歯・総入れ歯)
- インレー(詰め物)
- インプラントの上部構造
- 矯正装置(マウスピース型矯正装置など)
- スポーツ用マウスガード など
まさに、歯の職人と言える存在です。
技工物ができるまでの流れ
歯科技工士の仕事は、次のような流れで進んでいきます。
歯型(印象)を受け取る
歯科医師が患者さんのお口の型を採り、その「模型」や「写真」「咬み合わせの情報」などが技工士のもとへ届きます。
模型の作成
届いた型から、石膏模型を作成します。この模型は、技工物を作るための“土台”になります。
技工物の製作
模型をもとに、セラミック・金属・レジンなどの材料を使って、ミリ単位の精度で技工物を製作します。
細かい咬み合わせや色の調整も行いながら、その人にしか合わない“オーダーメイドの歯”を仕上げていきます。
完成・納品
完成した技工物は、歯科医院へ納品され、最終的に歯科医師が患者さんのお口へ装着します。
歯科技工士の仕事の魅力とやりがい
「形に残る医療」に携われる
自分の手で作った“歯”が、誰かの口の中で10年、20年と使われる。
それが、歯科技工士ならではの誇りです。
ミリ単位の精密なものづくり
非常に繊細な作業を求められるため、手先の器用さや集中力が武器になる職業です。
「ものづくりが好き」という方には、天職となるでしょう。
医療とアートの融合
技工物は単に“噛めればいい”というわけではなく、見た目の美しさや自然さも重要です。
患者さんの笑顔を取り戻す「審美歯科」にも欠かせない存在です。
実は知られていない課題
歯科技工士はやりがいのある仕事ですが、近年は人手不足や高齢化が深刻な問題となっています。
若手の技工士が減っている
国家資格でありながら、収入面や労働時間の課題から、若い人材が集まりにくい現状があります。
また、技術を習得するまでに年数がかかるため、継続的な支援や待遇の改善が求められています。
デジタル化の波も
近年では、CAD/CAMや3Dプリンターなどを活用したデジタル技工が急速に普及しています。
これにより、作業の効率化や精度の向上が可能になる一方で、新たなスキルの習得も求められます。
歯科技工士の存在をもっと知ってほしい
歯科治療というと、どうしても歯科医師や歯科衛生士が主役のように見えます。
しかしその裏で、技術と情熱を注ぎこみ“歯を作る”という重要な役割を担っているのが歯科技工士です。
私たちが「しっかり噛める」「自信を持って笑える」のは、歯科技工士の存在があるからこそ。
もし、治療中の詰め物や被せ物に違和感がなかったとしたら、それは歯科技工士の技術力のおかげかもしれません。
歯科医療の舞台裏で“笑顔”を支える職人たち
歯科技工士は、目立たないけれども、患者さんの生活の質(QOL)を大きく左右する重要な仕事です。
これからの時代、より高い審美性・精度・スピードが求められる中で、歯科技工士の価値はますます高まっていくことでしょう。
もし機会があれば、歯科医院で「この詰め物、どんなふうに作られてるんですか?」と聞いてみてください。
その先には、歯科技工士の緻密で誠実なものづくりの世界が広がっています。