歯科用CTの活用法|レントゲンとの違いと正確な診断のための役割
- 2025年11月20日
- 歯科関連器具材料
近年、歯科治療において「歯科用CT(3D画像診断装置)」の重要性が高まっています。
以前は平面のレントゲン画像のみで診断していた内容が、CTによって立体的かつ正確に把握できるようになり、診断や治療の精度が大きく向上しました。
本記事では、「歯科用CTとは何か?」「どのような場面で活用されるのか?」など、患者さんにもわかりやすくご説明します。

目次
歯科用CTとは?
CTとは「Computed Tomography(コンピュータ断層撮影法)」の略称です。
歯科用CTは、口腔内や顎の骨の状態を立体(3D)で確認できる装置で、X線を使って対象を多角的に撮影し、コンピューターで三次元画像として再構築します。
これにより、従来のレントゲンでは見えにくかった骨の厚み・神経の位置・病変の立体的広がりなどが明確に把握できるようになります。
レントゲンとの違いは?
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比較項目 |
パノラマレントゲン |
歯科用CT |
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画像 |
2次元(平面) |
3次元(立体) |
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見える範囲 |
歯・顎の全体的な構造 |
神経・骨密度・病巣の位置関係まで詳細に |
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放射線量 |
少ない |
やや高め(ただし医科用CTよりは大幅に少ない) |
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用途 |
一般的な虫歯・歯周病の確認 |
精密な診断や外科的処置の計画に使用 |
パノラマレントゲンは「全体を見るため」、CTは「正確に確認するため」という違いがあります。
歯科用CTが活用される主な治療シーン
インプラント治療
インプラント治療では、顎の骨の厚みや高さ、神経や血管の位置を把握する必要があります。
CTを使うことで、事前にシミュレーションを行い、正確な位置に安全にインプラントを埋入することが可能です。
根管治療(歯の神経の治療)
細く複雑な歯の根管(神経の通り道)は、通常のレントゲンでは把握しきれないこともあります。
CTを使うことで、根管の分岐・湾曲・感染部位の広がりなどを立体的に把握し、再発防止につながる確実な治療が行えます。
親知らずの抜歯
神経(下歯槽神経)との位置関係を正確に確認できるため、親知らずの抜歯リスクを低減できます。
特に水平埋伏や複雑な根の形状をしている親知らずでは、CTが抜歯の安全性を大きく高めます。
歯周病の進行評価
歯周病が進行すると、顎の骨がどのように吸収されているかを確認する必要があります。
CTを使うことで、歯を支える骨の立体的な状態を把握でき、治療方針の決定に役立ちます。
顎関節症や腫瘍・嚢胞の診断
CT画像では、顎関節の骨の変形や病変の広がりも確認できます。
また、顎や歯の中にできる腫瘍や嚢胞なども、大きさ・範囲・深さまで可視化することができます。

歯科用CTは患者さんにとってもメリットが多い
より正確な診断
「なんとなく治療」ではなく、根拠のある診断と治療方針の説明が可能になります。
治療の安全性が高まる
外科的処置(抜歯・インプラントなど)では、神経や血管の損傷リスクを減らすことができます。
痛みや治療時間の軽減
無駄のない治療計画が立てられることで、治療時間や通院回数が減る可能性もあります。
歯科用CTの撮影は安全?
「CTと聞くと被ばくが心配…」という声もありますが、歯科用CTの放射線量は医科用CTの1/10程度とされており、デジタル技術の進歩により、最小限の被ばく量で精密な画像が得られるようになっています。
撮影は数十秒程度で終わり、痛みや不快感もありません。安全で快適な検査です。

まとめ
◎歯科用CTは、従来のレントゲンでは見えなかった部分まで立体的に可視化できる画期的な機器です。
◎インプラント・根管治療・親知らずの抜歯・歯周病など、幅広い治療の精度と安全性を高めるために活用されています。
◎CT画像に基づいた診断により、治療の失敗リスクが下がり、結果的に患者さんの安心と満足にもつながります。
「正確な診断こそが、最良の治療の第一歩」です。
ご不安なことやご質問があれば、ぜひお気軽にスタッフまでご相談ください。