親知らずの抜歯は必要?抜くべきタイミング・痛み・費用・腫れのリスクまで徹底解説
- 2025年12月25日
- お口の病気
目次
親知らずとは?抜歯が必要な理由とは
「親知らず」とは、正式には第三大臼歯と呼ばれ、10代後半〜20代前半にかけて生えてくることが多い奥歯です。
上下左右に1本ずつ、最大4本生える可能性がありますが、人によっては1〜2本しか生えない、あるいは全く生えないこともあります。
親知らずは、顎のスペースが足りない現代人にとっては「不要な歯」とされることが多く、横向きに生えたり、歯ぐきに埋まったままだったりする「埋伏智歯」になることもあります。
そのため、次のような理由から、抜歯がすすめられることが少なくありません。

抜歯が必要な主なケース
◎横向きに生えていて、隣の歯を圧迫・虫歯にするリスクがある
◎親知らずの周囲に炎症(智歯周囲炎)を起こしている
◎歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼす可能性がある
◎頻繁に腫れや痛みを繰り返している
◎歯科矯正の前処置として抜歯が必要
親知らずはトラブルの原因になりやすいため、症状がなくてもレントゲンやCTで状態を確認し、将来的なリスクを考慮して抜歯が判断されることがあります。
親知らずを抜くべきタイミング
親知らずはいつ抜けばよいのでしょうか?
痛みが出てからでは遅い場合もあるため、「症状が出る前」が理想的な抜歯のタイミングです。
抜歯のベストタイミング
10代後半〜20代前半:骨が柔らかく、抜歯後の回復が早いため
妊娠前・矯正治療前:妊娠中矯正中は外科処置が難しくなるため、事前に抜歯がすすめられる
腫れや痛みが出る前:繰り返す炎症や虫歯を予防する目的での予防的抜歯
状態によっては経過観察となる場合もありますが、将来的なトラブルを避けるためにも、早めに歯科医院で相談することをおすすめします。

抜歯の流れと所要時間
親知らずの抜歯は、その生え方や位置によって手術の難易度が大きく異なります。
まっすぐ生えているケースは比較的簡単ですが、骨の中に埋まっている場合(完全埋伏智歯)は外科的な処置が必要です。
抜歯の基本的な流れ
①カウンセリング・診察(レントゲン・CT撮影)
親知らずの位置や神経・血管との距離を確認します。
②局所麻酔の実施
痛みを感じないよう十分に麻酔を行います。
③抜歯処置
・通常の抜歯:10〜20分程度
・外科的抜歯:30分〜1時間程度(骨を削ったり歯を分割する場合も)
④止血・縫合
傷口の感染予防のために縫合を行うことがあります。
⑤術後説明・お薬の処方
抗生物質や痛み止めが処方されます。
抜歯後の痛み・腫れ・注意点
抜歯後は、一時的に腫れや痛みが出ることがありますが、多くの場合は数日〜1週間程度で落ち着きます。
抜歯後によくある症状
・頬やあごの腫れ(特に下顎の親知らずで起こりやすい)
・軽度の出血(ガーゼで圧迫止血)
・開口障害(口が開きにくくなることがある)
・一時的なしびれ感(神経に近い場合)
ドライソケットに注意
傷口に血餅(かさぶた)ができず、骨がむき出しになる状態。激しい痛みが1週間以上続く場合は早めに受診が必要です。
術後の注意点
・当日は強くうがいをしない(血餅が流れてしまうため)
・飲酒・喫煙・激しい運動は控える
・処方された薬は必ず飲み切る
・食事は刺激の少ないものを選ぶ(おかゆ・うどんなど)
親知らずの抜歯にかかる費用
保険診療が適用されるため、自己負担額は比較的低めです。
費用は以下の通り、生え方によって変動します。
|
抜歯の種類 |
費用の目安(保険3割負担) |
|
通常の抜歯(まっすぐ生えている) |
約2,000〜3,000円 |
|
難抜歯(横向き・骨に埋まっている) |
約4,000〜6,000円 |
|
CT撮影 |
約3,000円前後(必要に応じて) |
|
薬代(抗生物質・鎮痛薬) |
約500〜1,000円 |
※自由診療のケース(完全自費)では異なる場合があります。

抜歯しないとどうなる?放置のリスク
親知らずをそのまま放置すると、以下のようなリスクがあります。
・隣の歯が虫歯や歯周病になりやすくなる
・親知らず周辺の炎症(智歯周囲炎)を繰り返す
・噛み合わせの乱れ、顎関節への影響
・全身疾患(感染症、心疾患)への波及リスク
とくに「一部だけ頭が出ている親知らず」は歯磨きがしにくく、細菌の温床になりやすいため、症状がなくても抜歯を検討することが望ましいケースもあります。
まとめ:親知らずは放置せず、早めに歯科医院で相談を
親知らずは、問題がなければ抜かなくても良い場合もありますが、将来的なトラブルの原因になることが非常に多い歯です。
特に歯ぐきの中で横向きに生えていたり、隣の歯に影響を及ぼしていたりする場合は、早期に抜歯を行うことで大きなトラブルを防ぐことができます。
症状がないうちにレントゲン検査を受け、親知らずの状態をしっかり確認しましょう。
「抜くか迷っている」「痛みが続いている」という方は、ぜひお気軽に当院までご相談ください。